新型コロナウィルスのニュースを算数で予測する
コロナウィルスの算数(1)
倍々ゲームの恐ろしさ
毎日新型コロナウィルス肺炎のニュースが流れていますね。この怖さは、マンガの闇金ウシジマくんの利子の怖さに似ています。今日はそのようすを算数で考えてみようと思います。
トイチでも恐ろしいのにトサンの利子もあるらしい
借金の複利の恐ろしさをご存知ですか?
闇金の利息でマンガなどでよく耳にするのが「トイチ」です。漢字では十一と書き、十日で一割の利子です。これがとんでもないものです。
利息には単利と複利があリます。単利というのは最初に借りたお金の額に対してだけ利息がつきます。
例えば10万円借りたとしますね。トイチなら10日に1割ですから、利息は1万円。つまり借金は11万円になります。
20日後には12万円
30日後には13万円
1ヶ月を30日とすると2ヶ月で16万円
1年で24万円ということです。
複利というのは、ついた利息にも利息がつく仕組みです。
スマホか電卓で計算すればわかりますが、トイチだと
10日後は同じ11万円
20日には11万円に利息が1割つきます。十日後の借金11万円の1割が利子ですから合計は、
110000×1.1 = 121000(円)です。
単利の場合と比べて、1000円多くなります。
今
なんだ、1000円か
と思いませんでしたか?
でも1ヶ月で 121000×1.1 = 133100(円)になります。利子の増え方が10日経つと1000円から3000円になるのです。
同じように計算していくと
2ヶ月では 17万7千円あまり。
一年経つとなんと約31万円になるのです。
24万と31万では7万円も違います。
もちろん10日ごとに1万円、月に3万円ずつ返し続ければ借金は増えません。
でも10万円を借りないとどうしようもない人が、月に3万円ずつ返し続けられるわけがないですよね?
NHK教育テレビの「ねほりんぱほりん」という番組に出てきた元闇金という人によると、十三(トサン)で利子を取っていたそうです。10日で3割。これだと1ヶ月で倍になります。
倍々を軽くみてはいけない
倍々というと有名なのは、豊臣秀吉に面白話を聞かす係だった曽呂利新左衛門さんでしょう。落語の開祖とも言われている人です。
ある日秀吉が
今日の話は特に面白かったので、なんか褒美をやろう
と言ったそうです。そこで新左衛門さんは
一日目に米粒を一粒。二日目にはその倍の二粒。三日目にはその倍の四粒、四日目にはその倍の八粒。
それを三十日間欲しい
といったらしいのです。最初1粒でその倍を倍にするくらいなら、30日でも大したことないだろうと、秀吉は二つ返事だったといいます。
では計算してみましょう。
10日目:2の10乗 = 512 粒
20日目:2の20乗 = 524,288 粒
30日目:2の30乗 = 536,870,912粒 ≒ 5億3千7百万粒
米一粒は精米するとだいたい0.02グラムです。5億粒なら1千万グラム=1万キロ=10トン ということです。
普通の乗用車の重さが1トンくらいですから、自動車10台分の重さの米ということになります。
いまスーパーなどで売っているお米は大きい方の袋で10キロですから、千袋です。
これは大変なことだ
と途中で気づいた秀吉は、別のものに変えてもらったそうです。
新型コロナウィルスは10倍ゲーム
新型コロナウィルスの恐ろしさも同じ理屈です。
ネット上には色んな情報があって、何が真実かはわかりにくいです。でも簡単な計算で、どんな事が起こっているかはおおよそわかります。
読売新聞の記事 のグラフを読み取ると、病院で新型コロナウィルスに感染したと判断された患者さんは、今月20日か21日に250人だったようです。それが27日には2744人になっています。だいたい一週間で10倍になっているわけです。
この患者数は、病院で新型コロナウィルスだとわかった人だけですから、感染していても発症していない人はもちろん、発症していても病院でまだ新型コロナウィルスのせいなのか別の病気なのか区別のついていない人は含まれていません。
でもまぁ、病院でわかった患者さんも、わかっていない患者さんも、だいたい同じペースで増えていると考えても、それほど間違ってはいない、と考えることができます。
仮に、これから一週間で10倍ずつ感染者が増えるとしましょうか。
すると
2月3日 25000人
2月10日 250000人
2月17日 2500000人
2月24日 25000000人
3月2日 250000000人
3月9日 2500000000人
3月16日 25000000000人 = 250億人
つまり、この調子で感染者が増えていけば、遅くとも3月半ばには地球の人口を超えてしまうのです。
しかも実際の感染者はこの10倍くらいいるかもしれません。だからこのペースで行くと3月上旬には人類全体が新型コロナウィルスと接触してしまう。
もちろん、地球の人口は100億もありませんから、どこかで止まるし、今までも全人類が同時期の同じ病気にかかったことはありません。
感染しても発病しない人やそもそも感染しない人、もともとウィルスに耐性のある人などもいるし、一度かかった人が治れば二回目はないし、政府なども色々と対策も打ちます。
どういう理屈かわからないとしても、感染者の増加はいつか緩まり、いずれ減少していくでしょう。
つまり、今のペースがそのまま3月までは続かないと思われます。
そこで問題になるのは、感染者の増え方がどう変わるか、ということになります。
見るべきは数ではなく変化の仕方
今現在の本当の感染者数が何人か?
などを気にしても大して意味はない、と私は考えています。
そもそもいくら探したって、そんなデータはどこにもありませんから。
でも、中国政府が発表する数字の変化には意味があリます。
多少の脚色が入っているとしても、その数字がどのように変化していくかはわかるからです。
中学校で習った変化の割合ってやつです。
もう一つ、注目したいのは日本の感染者数の変化です。
今日(2020年1月27日)は4名ですから、中国と同じ割合で増えれば、2月3日には40人程度にはなっているはずです。
はてさて来週の日本政府の発表はどうなっているのでしょうか?