子どもは純真なだけではなく、残酷でもあるのだ

私自身の体験から

あり

世の中には
「子どもは純真だ」
などと変な事を言う人がいる

そんなはずがないじゃないか
子どもは極めて残酷なものなのだから


私自身の経験で言おうか

まず思い出すのはアリだ

アリの行列を見ていたら
理科の実験を思い出したんだ

黒い紙を虫眼鏡で焼くやつ

太陽の焦点を当てたら
紙から煙が出てくるという
あの実験だ


ある日の午後
庭にアリの行列が
長く長く続いていたので
つい魔が差して
虫眼鏡を持ってきた

太陽の焦点が行列に当たると
一匹がチリチリと丸まった

後ろのアリも
そんなことが起こるとは
夢にも思わないので
自分から
次々と
灼熱の焦点に入ってくる

それを見ていた私は
なんと
笑っていたのだ


もう一つ言おうか

私の子どもの頃は
駄菓子屋で2B弾という
爆竹もどきを売っていた

棒状になっていて
片方の端は
マッチの箱の横にあるような
特殊な紙が貼ってあり
適当なところでこすると火がつく


しばらくすると
バンと爆発するのだ

これで怪我人が出ないわけがない
今では絶対に売れない代物だ

もちろん注意書きには
「人に投げないこと」
と書いてあった


「良い子」だった私は
人に投げたことはない

でもトノサマカエルの口に突っ込んで
爆発させたことはある

悲劇のトノサマガエルは
風船になって死んだ


私には
こんな思い出が
山のようにある

だから子どもが
いじめたり
いじめられたりしても
これっぽっちも
不思議には思わない

いじめを根絶することは
絶対に不可能だ

もちろん
いじめが起こったときに
放置してはいけない

ただ私は
誰の中にも
とても残酷な奴が
潜んでいることを前提にして
ことに当たるべきだ
と考えているだけだ


だから私は
子どもが純真だ
などとは
微塵も思っていない